山梨肺癌研究会会誌 第13巻1号 014-019(2000)

Induction therapyにより切除し得たG-CSF産生肺癌の一例

松本春信,古川 浩,岡原仁志,霜多 広
堤 正夫,石原重樹,並河尚二

要旨
 症例は52歳男性。左前胸部痛、発熱、全身倦怠感、体重減少を主訴に前医受診。胸部XP上左上葉腫瘤影あり当院紹介となる。白血球増加(23130/μl)、CRP高値、ALP高値であり、CT、MRIにて左上葉に胸壁および大動脈へ浸潤する腫瘤を認めた。エコー下経皮針生検で低分化扁平上皮癌と診断。G-CSF産生肺癌を疑い血清G-CSFを測定したところ76.5pg/mlと上昇。臨床病期T4N2M0 stage IIIBのG-CSF産生扁平上皮癌と診断した。化学療法、放射線療法によるInduction therapyを施行したところ腫瘍は縮小した。大動脈浸潤は認めず、治療効果はPRであった。病期はT3N2M0 stage IIIAとなり、左上葉切除施行。摘出標本の免疫染色ではG-CSFは証明されなかったが、術後の白血球、ALP、G-CSFの正常化が得られ、臨床経過からG-CSF産生肺癌が強く疑われた。G-CSF産生肺癌は治療抵抗性であることが多いとされるが、本症例はInduction therapyが奏功した症例であった。

keywords; G-CSF産生肺癌、Induction therapy



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