山梨肺癌研究会会誌 第13巻2号 017-021(2000)

心臓由来と考えられた肉腫型悪性中皮腫の一例

奥田純一,千葉成宏,赤池英憲,宮内善広,岡田冶彦
武藤俊冶,中込 博,三井照夫,芦沢一書,中沢美知雄
宮下義啓,小山敏雄

要旨
 心臓由来と考えられた悪性中皮腫の一例を経験した。症倒は5O歳、男性。不明熱の精査中、CTで縦隔腫瘍を指摘された。CT,MRIで腫瘍は、上行大動脈右縁にmassを形成し、上大静脈を背側に圧排していた。腫瘍の一部は上行大動脈前面から左側にも存在していた。術前の胸腔鏡下腫瘍生検では悪性線維性組織球腫が疑われた。手術所見では心臓由来の腫瘍と考えられ、大動脈基部まで腫瘍が漫潤していたため、腫瘍の完全切除は不可能であった。切除標本の病理組織的検査では、H.E像では悪性線維性組織球腫様にみえたが、CAM 5.2強陽性で電顕橡も腫瘍細胞は長い微械毛を有しており、肉腫型の悪性中皮腫と診断された。我々の調べ得た範囲では、心臓由来の肉腫型悪性中皮腫ほ本邦報告例がなく、極めて稀と考えられた。

Key words : 心臓由来,悪性中皮腫,肉腫型



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