山梨肺癌研究会会誌 第14巻1号 031-035(2001)

患者自身による呼吸停止下での治療計画及び照射時の
肺腫痕の位置再現性の検討

植木潤子、大西 洋、栗山健吾、荒木 力

目的:胸部腫瘍、特に肺腫瘍の照射においては呼吸性移動による照射容積の増大が問題となっている。我々はどの施設でも実行可能な患者自身による自己呼吸停止下での照射法を考案し、腫瘍及び血管構造の位置の再現性を検討した。検討項目: (分析1)治療計画時に、1. 12症例で,自然に呼吸している状態で撮影したCTと呼吸を停止して撮影したCT上で、腫瘍及び血管構造の位置の最大のずれを検討した。2. 6症例で、呼吸を停止した状態で3回CTを撮影し、呼吸停止下での腫瘍及ぴ血管構造の位置の最大のずれを検討した。(分析2)4症例で毎回の自己呼吸停止下での照射時に腫瘍位置のずれを検討した。結果: (分析1)自然呼吸状態と自己呼吸停止状態のCT上での位置の最大のずれの平均値は8.8mmであった。3回の呼吸停止下のCT上での位置の最大のずれの平均値は3.2mmであった。(分析2)自己呼吸停止下での照射時の照射野確認写真上での腫瘍位置のずれは頭尾方向、左右方向で平均値は2.3mm、1.8mmであった。結論:自己呼吸停止下では自然呼吸状態と比べて腫瘍位置のずれは約1/3に縮小できた。自己呼吸停止下での肺照射は簡便で有用な方法であり、今後多数の症例に試みる意義があると考えた。

Key Word : 放射線治療、肺癌、呼吸停止、自己呼吸停止



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