山梨肺癌研究会会誌 第14巻2号 076-080(2001)

膿胸に併発し急速に進展した肺癌の一例

羽田真朗、干葉成宏、牧 真彦、本橋慎也、石井健一
宮坂芳明、武川 悟、中込 博、三井照夫、芦沢一喜
小山敏雄、川崎朋範
宮下義啓、花輪充彦

要旨
症例は62歳、男性で突然重篤な両側性気胸、呼吸不全を呈し、緊急入院となった。入院後、急性膿胸を併発し、胸腔ドレナージや抗生剤などの保存的療法で制御不能な有瘻有菌症例であった為、膿胸の冶療として開窓術を行なった。しかし、膿胸腔の浄化と全身状態の改善がなかなか得られず、術後1力月目に施行したCT検査で、胸壁を破壊進展する腫瘍(10x8cm)を認め、生検にて扁平上皮癌と診断された。明らかな原発部位の特定はできないが、肺尖部結核性空洞周囲の陳旧性胸膜肥厚部が腫瘍の主座であることから空洞周囲の肺組織より発生した肺癌と考えられた。膿胸、気胸を初発症状とする症例には、悪性腫瘍が合併することもあり、診断が遅れる可能性が高いので、慎重な経過観察、検査が必要と考えられた。

KeyWords:肺癌、膿胸、気胸



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