山梨肺癌研究会会誌 第15巻1号 002-007(2002)

縦隔原発非セミノーマ性悪性胚細胞性腫瘍の1例

中川和也、金澤正樹、石原司、山田明雄、飯田龍一
野方容子
小俣好作

要旨
今回我々はシスプラチンを中心とした多剤併用化学療法が著効した,縦隔原発で悪性の非セミナーマ性胚細胞性腫瘍(Non Seminomatous Germ Cell Tumor,以下NSGCTとする)の1例を経験したのでここに報告する。症例は32歳の男性で,初診時の胸部単純X線写真,胸部CTで前縦隔に巨大な腫瘍性病変と両側肺野に転移と考えられる多発性結節影を認めた。CTガイド下経皮的腫瘍生検にて絨毛癌と診断した。また,染色体検査におちてKlinefelter症候(47XXY)と診断した。PVB療法を1コース,PEB療法を3コース行ったところ,原発巣,転移巣ともに著名に縮小し,腫瘍マーカー(hCG,hCG-β)も著減した。縦隔原発NSGCTは比較的稀な疾患で一般に予後不良であるが,絨毛癌はその中でも特に予後が悪く,早期の診断および治療が必要である。また,絨毛癌はKlinefelter症候群に合併しやすいことも知られている。縦隔原発NSGCTの治療として,シスプラチンを中心とした多剤併用による化学療法が有効な治療法の1つと考えられた。

Key word:縦隔腫瘍、非セミノーマ性胚細胞性腫瘍、絨毛癌、hCG、hCG-β、Klinefelter症候群



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