山梨肺癌研究会会誌 第15巻2号 078-082(2002)

多発性骨格筋転移と脊髄転移を認めた
肺腺癌の1例

山家理司、成宮賢行、岩井和郎

要旨:症例は56才の男性。血痰、前胸部・背部痛などの症状にて当院を受診した。胸部レントゲンにて左中肺野に結節影を認め、気管支鏡検査にて肺腺癌の診断となった。入院時より、左腎部側方に弾性硬の腫瘤性病変を認めていた。CTではこの病変を含め、多発性の骨格筋転移と思われる病変を認めた。また、入院中に両下肢の脱力が出現し、脊椎のMRIを撮ったところ、胸椎の脊柱管内に占拠性病変を認め、脊髄への転移と考えられた。この病変に対し放射線治療を施行しているが、症状の著明な改善はなかった。その後、患者は全身状態が悪化し死亡している。骨格筋転移、脊髄転移とも稀な病態であり、さらにこの二つが同時に出現した例は我々が検索した範囲では、これまでに報告がなかった。

キーワード:骨格筋転移、脊髄転移、肺癌、肺腺癌



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