山梨肺癌研究会会誌 第15巻2号 087-090(2002)

肺葉切除術後の気管支断端痩閉鎖にbFGF
(フィブラストスプレー)が有用と思われた1例

岡本祐樹、喜納五月、高橋 渉、三森義崇
大澤 宏、鈴木章司、保坂 茂、吉井新平
多田祐輔

要旨:症例は63歳の男性。十二指腸潰瘍、残胃癌にて胃全摘の既往がある。虫垂炎、腹膜炎術後のfollow up CTにて右肺S8に異常陰影を認めた。洗浄細胞診はclassV (squamous cell carcinoma)。術前精査でT1N0M0、clinical stage IAにて右肺下葉切除術を施行。術中気管支に特に異常は認めず、ロティキュレーターにて器械吻合、その後手縫い結節縫合を追加した。術後急性期は特に問題なかったが12病日目に気胸発生。胸水も認め培養ではE.coliが検出され、気管支断端痩を認めたため再手術となった。 しかし再手術後数日して、再び気管支断端痩が発生したため、以前難治性気胸に効を奏した経験からフィブラストスプレー(塩基性線維芽細胞増殖因子)を使用。これにより気管支断端痩は閉鎖された。気管支断端痩の原因は、胃全摘による逆流性食道炎が、気管支断端に感染を起こしたためと思われた。

キーワード:胃全摘後の逆流性食道炎、気管支断端痩、フィブラストスプレー



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