山梨肺癌研究会会誌 第16巻1号 042-047(2003)
自己呼吸停止下のstageI非小細胞肺癌
の定位放射線冶療
萬利乃寛、大西 洋、栗山健吾
小宮山貴史、田中史穂、荒木 力
論文要旨
目的:当科におけるstageI非小細胞肺癌に対する定位放射線冶療の成績を報告する。対象と方法: 2000年7月から2002年3月に当科にて定位放射線冶療を施行したstageIの原発性非小細胞肺癌22例(男:女=15:7、年齢68-92歳)を対象とした。組織型は腺癌14例、扁平上皮癌8例であった。8例に肺気腫の合併を認めた。Performance status(WHO)が3以上の症例は冶療対象から除外した。冶療方法は、まず患者に吸気位で再現性良く呼吸停止出来るように指導・練習し、3次元冶療計画用にCTを撮影する。冶療時は自走式ガントリCT一体型リニアックを用い、毎回病変部のCTを撮像し腫瘍の位置合わせを行う。腫瘍位置の確認後、多軌道回転原体照射法を用いて呼吸停止下で照射を行う。線量は1回6Gy、1日2回、5日間で計60Gy。冶療後の評価は3、6、12ヶ月でCTにて行った。一次効果、再発様式、生存率、有害事象について検討した。結果:一次効果はCR8例、PR10例、NC4例であった。局所再発は全例認めなかった。1年粗生存率78%、1年原病生存90%であった。有害事象は2例において症状が軽度の放射線肺炎を認めた。結論:我々の行っている自己呼吸停止下定位照射法は腫瘍制御効果が高く、有害事象の観点からも有用な照射法であると考える。
Key words: non-small cell lung cancer, stereotactic radiotherapy, breath-hold
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