山梨肺癌研究会会誌 第17巻1号 017-024(2004)

Docetaxel併用放射線治療後に難治性放射線肺炎と慢性気
胸を生じた無気肺合併進行肺癌の一例

萬利刀寛, 大西洋, 小宮山貴史, 田中史穂, 荒木カ
栗山健吾

 [論文要旨]近年、新規抗癌剤の開発に伴い、stageV以上の進行期非心細胞肺癌に対する放射線化学療法の有用性が注目を浴びているが、そのprotocolについてはいまだ確立されたものはないのが現状である。当科ではDocetaxel(Taxotere:TXT)併用放射線治療に良好な成績を治めているが、TXTのもつ放射線増感作用によって腫瘍の制御効果が向上する一方、有害事象としての重篤な放射線肺炎の出現する危険も増加する。今回、当科にてTXT併用放射線治療後に難治性放射線肺炎と慢性気胸を生じた無気肺合併進行肺癌1例を経験した。治療効果は非常に良好で形成後3週以上経過している無気肺の解除を認めた。重篤な放射線肺炎の危険を減じるために可能な限り照射野を縮小する努力が重要であること、および気胸の危険を伴う可能性のあるステロイドパルス療法は本症例を含む重篤な放射線肺炎症例を除いてほその導入に慎重な検討が必要であることが示唆された。

Keword: 進行期非心細胞肺癌、放射線化学療法、Docetaxel、放射線肺炎



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