山梨肺癌研究会会誌 第17巻1号 036-040(2004)
CT下肺生検にて脳梗塞をきたした一例
宮内善広, 羽田真朗, 千葉成宏, 飯塚弘隆
渡辺光章, 稲垣栄次, 中井克也,宮坂芳明
中込博, 三井照夫, 芦澤一喜
要旨:症例は79 歳男性。咳嗽を主訴として、近医より紹介受診。右肺上葉に腫瘤影認め、気管支鏡検査など行うも確定診断に至らず、CT下柿生検を施行したところ、意識消失・痙箪などが出現した。直後のCTにて大動脈内に空気像が出現し、その後のCTでは髄液内にも空気像を認めた。その臨床経過および画像所見よりCT下肺生検により生じた脳空気塞栓症と診断した。患者は左上肢に僅かの麻痺を残して38病日に退院した。肺病変については確定診断に至らず、現在も経過観察中である。今回文献的検討を加えて報告する。CT下肺生検は手技的には簡便であるが、その適応には細心の注意を払わなければならず、健常肺の距離・気腫性変化の有無などの性状、目的とする腫瘤の性状・サイズ、受検者の呼吸状態(呼吸停止の努力が可能か否か)などによっては外科的生検のほうがより安全性が高い可能性があると考えられる。
Key words :肺癌、CT下肺生検、空気塞栓、脳梗塞
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