山梨肺癌研究会会誌 第18巻2号 091-095(2005)

T期非小細胞肺癌に対する定位放射線治療後の
局所再発例のCT所見の検討

加藤 聡、小宮山貴史、斉藤彰俊
南部敦史、大西 洋、柏山史穂、
萬利乃寛、荒木 力
栗山健吾
松本敬子


要約:l期非小細胞肺癌に対して施行された定位放射線治療後の局所再発例について、経過観察時CT所見の特徴を明らかにすることを目的とした。対象は定位放射線治療が施行されたT期非小細胞肺癌27例で、うち5例が再発例、22例が非再発例であった。照射後定期的に撮像さ
れたCTから、腫瘍を含む異常濃度辺縁のbulging marginやlinear margin、air bronchogram、病変側の胸水、縱隔・肺門部リンパ節腫大の有無を検討した。造影CTが定期的に施行された症例についてはangiogram signの有無、造影効果の不均一性も検討した。また異常濃度の最大径も計測した。bulging marginが経過観察中に出現した症例は再発例5例中4例(80%)、非再発例22例中1例(5%)であった。air bronchogramを伴った症例のうち経過観察中に消失した例は再発例で3例中3例(100%)、非再発例で21例中4例(19%)であった。病変側の胸水は再発例では5例全例(100%)で、非再発例では22例中5例(22%)で認められた。異常濃度の大きさについて、非再発例では照射後12ケ月以降の増大は認められなかった。定位放射線治療が施行されたT期非小細胞肺癌について、経過観察中のCTで@辺縁のbulging marginの出現、Aair bronchogramの消失、B胸水の出現、C照射後12ケ月以降での異常濃度の増大を認めた場合、局所再発を疑い、生検での確認を検討する必要があると思われた。

キーワード:T期非小細胞肺癌、定位放射線治療、局所再発



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