山梨肺癌研究会会誌 第18巻2号 096-100(2005)

肺癌が疑われた肺異常影 〜FDG-PETによる評価の初期経験〜

佐藤葉子 石亀慶一 斉藤彰俊 佐野美香 南部敦史 宮澤伸彦
篠原豊明 荒木力

要旨:近年、肺癌検診や他疾病の経過観察中に、胸部単純]線や胸部CTで肺癌を疑われる異常影を指摘される症例が多い。しかしCTのみでは良悪性の鑑別が困難な場合がある。今回、我々は、胸部CTおよびPET検診で肺異常影を指摘した症例について、F-18 FDG-PETによる良悪性の鑑別を行った。対象は43名で、臨床的に悪性と診断されたものは30例であった。PET評価基準は、FDGの集積の程度、遅延相での増加の割合、臨床情報(腫瘍マーカーを含む)など加味し、総合的に良性・悪性を否定できず・悪性を疑う・恵性、と診断した。結果は、高集積(SUV max 5程度)を示す結節/腫瘤は、PET診断、臨床診断ともに悪性であったが、集積が軽度のものはPET所見のみからは鑑別が困難であった。また、病変が大きくなるほど、集積の程度が強かった。また、扁平上皮癌が高集積であったのに対し、腺癌は低集積の傾向があった。FDG-PETは肺異常影の良悪性の鑑別に、他モダリティと併用することで有用と考えられた。さらに、肺癌の病期診断に寄与する可能性が示唆された。

キーワード:F-18 FDG-PET、肺癌、良悪性の鑑別、病期診断



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