山梨肺癌研究会会誌 第21巻1号 002-005(2008)

術前診断が困難であった同時多発肺癌の1切除例

小林恵子、古屋一茂、日向道子、須貝英光、桜井裕幸、羽田真朗、
宮坂芳明、中込博、三井照夫、千葉成宏、小山敏雄

要旨:症例は70代男性。2003年にS4・5のHCCと診断され、肝部分切除施行された。以後経過観察中の術後4年目にCEA10.4と上昇を認め、CTにて右肺尖部に3.2×2,0cmのspiculaを伴う腫瘤と右肺S7に2.5×2cm大の腫瘤を認め、S7の病変は細胞診にて扁平上皮癌であると診断された。右肺尖部の腫瘤はPET検査にて陽性であったが、確定診断には至らなかった。右肺上葉部分切除後、術中迅速病理検査にて肺腺癌であると診断された。右中葉は不完全分葉で小さく、リンパ節は炎症性変化があり、硬く触れたため中葉も含め、右肺全摘、リンパ節廓清を施行した。肺尖部の腫瘍とS7の腫瘍の組織型が異なることより、同時多発肺癌であると診断した。術前診断が困難であった同時多発肺癌の一例を経験したため、報告した。

キーワード:同時多発肺癌、術中診断、PET検査、腫瘍マーカー



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