山梨肺癌研究会会誌 第21巻1号 028-033(2008)

I期肺癌の定位照射後局所再発に対する再定位照射の有用性の検討

青木真一 大西洋 萬利乃寛 荒屋正幸 齋藤亮
荒木力
佐野尚樹 芦沢和成 松田繁宏
栗山健吾
小宮山貴史

<要旨>
背景:頭頸部腫瘍や脳腫瘍の照射後局所再発に対する再定位照射についての報告はあるが、1期肺癌の定位照射後の局所再発に対する再定位照射についての報告はない。目的:1期肺癌の定位照射後の局所再発に対する再定幽照射について報告し、その有用性について検討する。
対象・方法:当院または関連病院で1期肺癌に定位照射後、局所再発認めるも転移は認めず、再定位照射を行った4例。初回と再照射あわせての総BED10は、2例は184 .8Gy、1例は177.6Gy、1例は168.6Gyであった。初回の定伺照射から再定位照射までの期間は9〜26ヶ月。スイッチを用いた自己呼吸停止法を用いた。
結果:4例全例で、治療後局所腫瘤の縮小または増大の停止を認めた(CT上PR3例、NC1例)が、全例で局所再再発認めた。再再発までの期間は、4ヶ月、7ヶ月、9ヶ月、15ヶ月であった。有害事象については、放射線肺炎grade1が3例、grade2が1例。照射後の線維化が原因と考えられる気胸を1例認めた。その他の有害事象の出現は認めなかった。考察:grade3以上の有害事象の出現は認めず、安全性は許容できるが、全例で局所再再発を認めており、今回の線量では長期的な局所制御効果は低い。BED10 180Gy以上のdose upはgrade3-5の有害事象が認められたという報告もあり、再照射線量のこれ以上の増加は難しい。
結語:定位照射後局所再発の救済治療として積極的にすすめられるものではないが、その他の治療が選択できない状態においては、選択肢の一つと考える。

キーワード:stereotactic radiotherapy,lung cancer,local recurrence,BED



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