山梨肺癌研究会会誌 第21巻1号 034-037(2008)

I期非小細胞肺癌に対する定位照射後の
縦隔リンパ節再発に対して追加照射を施行した経験の報告

斉藤亮

要旨【目的】I期非小細胞肺癌に対する定位照射後の縦隔リンパ節再発に対して追加照射を施行した経験を報告する。【対象】2001年3月から2006年6月までに定位照射を施行した1期非小細胞肺癌患者84名中、縦隔リンパ節転移に対して照射を行った9症例を対象とした。男性8例、女性1例。年齢は70歳から85歳(中央値75歳)。扁平上皮癌2例、腺癌4例、1arge cell neuroendocrine ca. 1例、組織型不明2例。定位照射時のStageIAが3例、StageIBが5例。肺癌術後局所再発例が1例、定位照射時medically inoperableは7例medically operableは2例と判断されていた。【方法】追加照射は腫大リンパ節転移に対して行われ、3例がWeekly TXT併用(60Gy/30fr,66Gy/33fr)。他は照射単独(58〜66Gy)であった。定位照射から縦隔照射までの期間4〜27ヶ月(中央値10ヶ月)【結果】照射単独の6例とも治療開始時の線量は66Gy/33frを予定していたが、3例は有害事象のため途中で中断された。縦隔照射後の観察期間1〜32ヶ月(内3例が1ヶ月) 。治療効果(RECISTにて評価)はCR1例、PR5例、評価不能3例。Grade3以上の有害事象は食道炎Grade31例、放射線肺炎Grade31例Grade51臥最終状態は放射線肺炎死1例、他病死3例、腫瘍死2例、頸部リンパ節転移に対して追加照射後経過観察中1例、肺内転移に対して外来化学療法中1例、無病生存中1例。【結語】1期非小細胞肺癌に対する定位照射後に縦隔リンパ節再発に対して追加照射を施行した経験を報告した。9例中1例に合併症死を認めており、追加照射の適応、および照射法を十分検討する必要があると考えた。

キーワード:非小細胞肺癌、定位照射、縦隔リンパ節再発



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