山梨肺癌研究会会誌 第21巻1号 038-042(2008)

低線量肺CT検診車における初期成績

高田真 小林隆基 広瀬準司 雨宮良治
植松弘 宮崎弘二 守屋律子 依田芳起

【要旨】
当センターでは、2005年2月から車載型のマルチスライスCTによる肺癌検診を始めた。今回は、この初期成績を報告する。対象は2007年3月までに低線量肺CT検診を受診した者とし、当センターの人間ドックによるCT検診は含まないこととした。CT装置は日立メディコ社製4列のマルチディテクターを使用し、条件は「低線量CTによる肺癌検診の手引き」に基づき撮影した。読影は遠隔読影システムによるシングル読影で行った。
全体で、のべ7,653名受診し、男性4,491名、女性3,162名であった。平均年齢は56.4歳であった。初回受診者は6,106名、経年受診者は1,547名で経年受診率は20%であった。
要精検者数は全体で790名、初回受診群は644名、経年受診群は146名であった。要精検率は全体で10.3%、初回受診群10.5%、経年受診群9.4%であった。制度管理ガイドラインによると初回受診8%以下、経年受診で5%以下が望ましいとあり、当センターでは特に経年受診の要精検率が高率である。原因として、遠隔読影システムで読影を行っており、比較読影が困難であることが考えられる。精検受診者数は全体で563名、初回受診は458名、経年受診は105名で、精検受診率は全体で71.3%、初回受診は71.1%、経年受診は71.9%であった。発見癌数は11例で、発見率は0.14%と他の施設と比較しても低率であった。原因として、精検受診率の低値が挙げられ、精検受診率の向上を図らなければならい。今後検診対象者の絞込み、要精検率の改善、精検後の追跡システムと精検施設との連携、施設基準を満たす精密検査施設への勧奨など課題は山積である。

キーワード:車載型CT、マルチスライスCT、肺癌検診



論文PDFファイル (980KB) はここをクリックしてください
Full Text PDF File (980KB)




目次・Contentsに戻る