山梨肺癌研究会会誌 第22巻1号 002-005(2009)

肺癌の中枢気道病変に対する気管支鏡下エタノール注入療法

石原裕

要旨:肺癌の中枢気道病変のため呼吸困難あるいは喀血をきたした症例に対して気管支鏡下エタノール注入療法を行った。症例1は肺扁平上皮癌の原発巣と転移巣のため左右の主気管支が狭窄し著しい呼吸困難をきたしていたが、右主気管支の狭窄部に対して行ったエタノール注入が奏効して呼吸困難が軽減し、全身状態も改善して抗癌剤治療につなげることができた。症例2は中枢型の肺扁平上皮癌による喀血に対して気管支動脈塞栓術が無効となっていたが、エタノール注入が奏効し死亡するまでの5ヶ月間喀血を抑えることができた。症例3は肺腺癌のため気管と左右主気管支が狭窄し著しい呼吸困難をきたしていたが、気管内に突出した腫瘍部分に対して行ったエタノール注入が奏効せず死亡した。副作用は一時的な咳や酩酊感であったが、症例3ではエタノールによると思われる肺炎を生じた。

キーワード:肺癌、気管支鏡、エタノール注入療法



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