山梨肺癌研究会会誌 第22巻1号 019-023(2009)

当院で経験した肺多形癌の2例

山家理司、細萱直希、大木善之助、小澤克良
富澤正久
宮田和幸

要旨:肺原発多形癌の2例を経験したので報告する。症例1,70才台男性。自覚症状はなく、検診の胸部レントゲン異常を指摘され当院を受診した。右肺中葉に腫瘤影を認めた。精査の結果、非小細胞癌(c-T2NOMO stageIB)の診断となった。右肺中葉切除術を施行した。病理の結果は多形癌であった。術後は、外来にて化学療法(UFT内服)を行っていたが、術後3ヶ月後から左上肢の麻痺が出現した。頭部CTにて右頭頂葉に脳転移を認めた。症例2、60才台男性。検診レントゲンで異常を指摘され、自宅近くの病院を受診した。胸部レントゲン、CTにて肺癌の疑いあり、当院に紹介された。自覚症状はなかった。精査の結果、肺腺癌(c-T2NOMO stageIB)の診断となった。左肺上葉切除術を施行。病理の結果は多形癌であった。現在も術後フォロー中である。肺原発多形癌は、1999年に新WHO分類で新たに分類された稀な腫瘍で、原発性肺癌に占める割合は約0.3%とされている。本腫瘍は胸壁や縦隔などの隣接臓器への浸潤や、早期の遠隔転移をおこしやすいとされており予後は一般的に不良である。

キーワード:肺多形癌、肺原発多形癌



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