山梨肺癌研究会会誌 第22巻1号 024-028(2009)

術前、術後化学療法が有効で、完全奏効を得たstageIIIA肺腺癌の1例

佐藤亮太 渡邉一孝 菱山千祐 西川圭一 久木山清貴 宮内善広
松原寛知 奥脇英人 大西洋 加藤良平

要旨=症例は59歳女性。2002年検診で左肺S3に結節影を指摘され、前医を受信したが診断が確定せず、通院を中断してしまった。2005年12月当院を受診し同部位に21o 大の結節影を認めた。精査にて肺腺癌、cTlN2MO stage VAと診断された。2006年2月中旬からcisplatin(CDDP)+TS-1併用療法を2コース、その後1胸部放射線療法(70Gy/35fx)を施行した。CT、PETで再評価したところ原発巣は13o 大に縮小していたが残存し、1ンパ節転移は確認できなくなったため2006年10月に手術を施行した。術式は左肺上葉切除術+ND2a、肺動脈形成術で完全切除された。病理所見では原発巣の中心部は線維化し周囲にviabilityのある腫瘍細胞を認めたが、リンパ節転移はなくpT1NOMO stageIAだった。術後化学療法としてUFTを内服しているが、術後25ヵ月を経過し再発を認めていない。cN2 stageVA非小細胞肺癌は予後不良であるが、本症例では術前の化学放射線療法によりdawn stageが得られ手術を施行、術後化学療法を行い完全奏効が得られている。

キーワード:cN2 stagelllA非小細胞肺癌、集学的治療、化学放射線療法



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