山梨肺癌研究会会誌 第22巻1号 038-041(2009)
左肺全摘術後、化学療法施行し経過観察中の腺扁平上皮癌の一例
羽田真朗、古屋一茂、日向道子、大森征人、赤澤祥弘、古屋信二、白石謙介、須貝英光、
宮坂芳明、中込博、三井照夫
要旨:症例は、59歳、女性。咳を主訴として前医を受診し、胸部レントゲン検査にて左肺癌を疑われ当院を紹介された。精査にて左肺癌と診断され手術目的に当科紹介された。画像診断では、左肺上葉に49×45mmの肺癌があり、縦隔胸膜、肋骨、左肺動脈本幹に浸潤を疑われ、左肺門リンパ節転移に認めた。術前診断は、左肺癌cT3NIMO(StageIIIA)で、左肺全摘(心膜合併切除、心嚢内血管処理)施行した。しかし左肺動脈、肺静脈に浸潤がみられており、病理診断でpT4(PV)NOMQ(stageIIIB)であった。非治癒切除例であったため術後化学療法を施行した。現在、術後約4年経過したが、再発転移等はみられず、経過観察中である。2003,2005年肺癌診療ガイドラインでは、術後化学療法、化学療法剤の選択、期間、維持化学療法の有用性等の変更、削除が行なわれた。肺癌診療ガイドラインに基づいた診療を行うことは大切であるが、実地診療において、診断や治療に関する指針として利用し、妥当性の高い治療選択を実践することがより重要である。今後ともよりよい肺癌診療ガイドラインになっていくことを期待している。
キーワード:肺癌、術後化学療法、肺癌診療ガイドライン
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