山梨肺癌研究会会誌 第7巻1号 006-010(1994)

びまん性悪性胸膜中皮腫の1例

小泉史明、長田忠孝、阿部治男、加藤良平

要旨:症例は53歳の男性。平成5年3月頃より右胸痛、右背部痛、咳嗽が出現し当院受診。初診時、胸部単純X線にて右下肺野にわずかな胸水を認め、4月20日当院精査目的で入院となった。胸腔鏡下胸膜生検にて悪性胸膜中皮腫疑われ、臨床症状、検査所見とあわせ、びまん性悪性胸膜中皮腫と診断した。患者は広範囲胸膜肺合併切除の適応を検討する目的でA病院を受診したが、上記診断否定され、経過観察。症状悪化のため、本人の意志でB病院を受診。悪性胸膜中皮腫と診断され6月12日入院となる。入院後CDDP、ADMによる化学療法を施行したが、真菌による敗血症、DICにて、8月22日死亡した。剖検にて、悪性胸膜中皮腫、混合型と診断された。本症例は比較的初期の段階で診断されたものの、初発症状がら治療開始までに約4カ月を要しており、示唆に富む症例と考えられた。

Key Word:悪性胸膜中皮腫、臨床診断、病理診断



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