山梨医科大学紀要 第10巻,022-028(1993)

電磁場の生体への影響(2)
―特に発生・生殖に及ぼす影響について―

飯島純夫、山縣然太朗、大間敏美、浅香昭雄

 近年、その生体への影響に関心が高まっている電磁場の発生・生殖へ及ばす影響について概説した。実験的研究の対象は大きく非哺乳類、哺乳類に大別され、非哺乳類ではニワトリ胎芽が、哺乳類ではラット、マウスでの知見が主である。いずれの実験動物を用いた研究でも現在までのところ、陽性結果を示した知見は3分の1程度であり、しかも再現性、量反応関係などが弱い、あるいはみられないものが多い。疫学的研究でも陽性結果と陰性結果がともに報告されており、陽性の場合は交絡因子の存在が示唆されている。また、実験的研究においても疫学的研究においても、陽性結果が報告されているのは変動磁場によるものであることから、今後周波数、磁場強度、波型を様々な条件で組み合わせた変動磁場を用いて電磁場単独の場合あるいは他の要因と複合させた場合の影響についての検討が必要とされる。

キーワード:電磁場、発生、生殖、奇形



Effects of Electromagnetic Fields on Reproductive Outcomes

Sumio IIJIMA, Zentaro YAMAGATA, Toshimi OOMA and Akio ASAKA

Recently, increasing attention has been given to adverse reproductive outcomes caused by electromagnetic fields (EMF). We reviewed experimental and epidemiological studies on adverse reproductive effects of EMF. Possible links to production of abnormalities in growth and development have been suggested by some investigators either in experimental studies or in epidemiologic studies. However, the results have been inconsistent. Additional studies including improved epidemiological studies and biological experiments using various frequencies, intensities and waveforms will be warranted.



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