山梨医科大学紀要 第13巻,007-012(1996)
電磁場は悪性腫蕩を誘発するか
飯島純夫,山縣然太朗,浅香昭雄
コンピューター,家庭電器製品,携帯電話などの急速な普及にともなって,電磁場の生体への影響が注目をあびている。筆者らが,以前に本紀要に発表した総説を踏まえ,最近の知見を中心にして,電磁場は本当に悪性腫瘍を誘発するのかどうかについて考察した。居住地での曝露でも,職業的曝露でも,前報以降に電磁場の発癌性を肯定するものと否定するものとがおのおの報告されている。とくに最近数年で発表された,前向き研究による調査ではいずれもあまり強い関連は認めらていない。以上から考えて,電磁場が悪性腫瘍を誘発するかどうかについては,依然として灰色であるといえる。今後は正確な曝露量や他の交絡因子をコントロールした前向き研究を企画することが必要であり,さらに遺伝的に感受性の高いグループが存在する可能性についても言及した。
キーワード:電磁場,悪性腫瘍,疫学的研究
Do Electromagnetic Fields Induce Cancer ?
Sumio IIJIMA, Zentaro YAMAGATA and Akio ASAKA
Recently public concern about the carcinogenic effects of electromagnetic fields(EMF) has been increasing. We reviewed the published literature and current problems relating to possible carcinogenic effects of residential and occupational exposure to EMF. There are several suggestions that such an exposure may increase the risk of cancer, but these studies failed to provide conclusive indications. Further studies including improved prospective studies and biological experiments using EMF and other causal agents will be clearly needed.
本文ページです。見たいページをクリックして下さい。(解像度が低いため、鮮明な画像が必要な場合は原本をご参照下さい)
p. 7
p. 8
p. 9
p. 10
p. 11
p. 12
目次・Contentsに戻る