山梨肺癌研究会会誌 第18巻1号 027-031(2005)

癌性心膜炎に対する剣状突起下心膜開窓術

宮内善広 橋本良一 有泉憲史

要旨:癌性心膜炎は多くの悪性疾患の終末期に認められる病態である。これに対し1996年以後当科では、剣状突起下アプローチによる心膜部分切除を行い、心嚢水水の減量・在院期間の短縮を得ている。現在までに本法を6症例(肺癌:3例、その他:8例)に施行した。1例は効果が不充分で術後心タンボナーデが再発・死亡時まで再穿刺を繰り返したが、4例は死亡時まで心タンボナーデ再発を認めなかった。最新の1例は術後4ケ月現在心タンボナーデの再発なく、外来にて胃癌に対する化学療法を継続している症例で、術中右開胸なり対処を要した。
 本法は低侵襲で且つ効果も充分期待できる方法であり、終末期の癌性心膜炎患者に対する外科的治療の一法として妥当であると考えられた。

Keywords:癌性心膜炎、心膜開窓術、心タンボナーデ、終末期医療、緩和医療



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