山梨肺癌研究会会誌 第18巻1号 033-037(2005)
当院でのイレッサ使用症例の検討
渡辺一孝 石原裕
要旨:イレッサの使用基準は“手術不能または再発非小細胞癌であり、化学療法既治療例”と一般に認識されている。当科では合併症やPSの低下、化学療法に対する強い拒否のため標準的な化学療法を施行できない手術不能または再発非小細胞癌の症例に対しても倫理的観点からイレッサを投与してきた。今回、我々のこの判断の妥当性を検証するために、化学療法既治療例と化学療法未治療例との間でイレッサの効果や副作用についてretrospectiveに比較した。化学療法既治療例は6例、未治療例は14例であったが、両群の間に効果や副作用の点で有意の差は見られなかった。従って、化学療法未治療の手術不能または再発非小細胞癌に対しても十分なインフォームドコンセントが得られた場合イレッサの投与は容認されるものと考えられた。
キーワード:イレッサ、使用基準、効果、副作用、臨床試験と実地医療
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