山梨肺癌研究会会誌 第18巻1号 051-056(2005)

抗酸菌症が疑われた肺癌の検討

高崎 仁, 高木 康博
野見山 延

要旨:結核専門施設(旧独立行政法人国立病院機構西甲府病院)への紹介入院患者の肺癌合併に関する問題点を考察するためにH11年1月1日からH16年9月30日までに当院で入院加療を行った活動性結核症または疑いの患者を対象とし最終的に肺癌と診断された患者を検討した。調査期間における全入院患者771例のうち活動性肺結核症または疑いの患者は389例で、このうち活動性肺結核症と診断された患者は329例、最終的に肺癌と診断された患者は3例であった。このうち2例(同時発症率0.6%)は肺癌と活動性結核の同時発症で、いずれも他院で肺癌のみが疑われて気管支鏡検査を施行され、肺癌と肺結核が同時に診断された。画像上は結核既感染を示唆する石灰化巣を認めたが、活動性結核の合併を積極的に疑う所見を認めがたく、検査前に活動性肺結核の同時合併を予想することは困難であった。以上から、肺癌を疑って気管支鏡検査を施行する際は、肺結核の合併を念頭におく必要があると考えられた。

肺癌、 肺結核



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